いよいよ、江差を出港した。6時出港だが、なんとなく早い方がいいのではと思い、5時30分過ぎに出港した。
27海哩くらいまでは海面もさほどではないかったが、そのうち荒れ始めて、ドジャーにスプレーではなく、波そのもがあたってくる。スターンの右舷にどでかい波が当たり大きく振れるなど、あまり経験したくない変形波だった。然し反面いい訓練になる。室津下から萩に向かう時もそうだったが、今日の場合はみるみるうちに雨風が強まり、空は濃い鉛色になってくるので、気分のいいもではなかった。今日もシングルハンドだったが、ラストの5海哩は値打ちがあった。まあ北海道の海は手ごわい。
12時40分位に入港したが、港内も風が強く、着岸に手間取った。理由は以前、写真掲載した雨避けシートが後ろ風をはらみ、エンジンの後進がきかないくらい行き足がついてしまう。そんな状況から着岸の際に左腕をスターンパルピットと岸壁ゴムフェンダーとの間に挟まり、打撲と擦過傷をうけた。
この先がまだあるので、念のためドクターの診察を受けることにした。松前町立病院に電話して事情を話すと午後の診察はなかったようだが、配慮くださる。2人のドクターが診てくださり、そのうちの外科長は小学生の頃からOPなどのヨットに乗っていたとのこと。また、愚生の住んでるところもよくご存知で、少々話し込んだ。金沢のドクターに続き、松前のドクターとも不思議な出会いだ。診察中、いい旅をされてますねと言われたので、このようなお世話になると、どうも年寄りの冷水を感じますとかえしたらお二人とも笑っておられた。他に何かないかと問われたので、右の手のひらの凸を診て貰うと、腱が切れた跡形だと。
打撲の薬を処方すると言われ、何か他の薬を持っているかと聞かれたので、ホームドクターにいろいろ貰ってきたと伝え、持っていない鎮痛剤を処方して貰った。
別れ際、二人のドクターから、いい航海をと激励され、とても嬉しくなった。
精算時に松前町立病院の診察カードを貰ったので記念にしますよと云うと、事務所のみなさん大笑いされた。
艇に戻りルナ艇長にドクターの話をすると、まあ、世間は狭いなーと。
昨日もその前も何度かルナ艇長に、この旅で多くの人と知り合い、都度親切を受けたこと、これだけで愚生はこの旅をやった甲斐がありましたと話してたので、今日のドクターの話をすると、流石に、ヘーッて感じだった。
外は凄い風と波だ、港の中も風と波がすごく揺さぶられているが、その中、丘の上の漁師の店という食堂に夕食を食べにいく。
食堂へ行く道道、ルナ艇長が、今日のあの複雑且つ複数の三角波はなんだ、下からも突き上げていたよ、と。またその影響からオートヘルムのコネクターのネジが緩んで外れたよ、とも。あの波の中、どんなことがあったとしても、デッキにいく気になれなかったなー、あれがもし数時間続いたらどうなってただろうと。ロングクルージング経験が長く、また少々の波風のことには寡黙なルナ艇長にそう言わしめる松前沖の荒れた海域だった。
明日は間違いなく沈殿。このところ稼働率の悪いことこの上ない。小樽への航行、行きは良い良い帰りは・・・、だった。
北海道を離れるにはあと2leg、そろそろ、どなたか、我々にチャンスをくだされませ。
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