2018年3月19日月曜日

「困った艇」・・・

昨日のKYCティールームで、コーヒーを飲みながらYさんからの設問。
図-Aのようなレース航跡の艇がfinish lineを越えてきた、これをどう処理するか?
愚生に、「要はあなたがレースコミッティーならどう処理するか?」と問われてきた。まあ「困った艇」もいたもんだと言っても仕方がない。

考えていると、さあ、どうすんねんと問い詰めてくるし、横のテーブルにいる全日本選手権クラスのセーラーも間違ったジャッジは許されん、だって高いレース参加料を払ってるんだから。またこのレグが6時間コースだったら、この最後のジャッジ、どうしてくれるなど、なんとも臨場感あるたたみ込みかたで迫ってこられる(笑)

「困った艇」に、併せて困った人まで現れる。皆さん、演技で大事なポイントを教えてくださっている。一方、ビギナーいじりを楽しんでもいるようだ。
この「困った艇」はどこの・・・、まさか全日本選手権クラスのセーラーはこんなことしないだろうと、言い返したいところだが、そんなジョークはこのタイミングでは無用か(笑)

この艇は、ペナルティーを行使して、再度 finish lineを通過云々と答えると、そんなこと聞いてるんじゃない、現実にこの艇はfinish lineは越えたんや、さあどうするの一点張りで、そのパワーに少々タジタジしながら、DNFと言ったものの、艇はfinishしているだから、それは当て嵌まらないことは明々白々。

これに対する審問のベースとなる条項は、
RRS第3章レースの実施の 28項コースの帆走の 28.2項で、下記のように記されている。

プレスタート・サイドからスタートするためにスタートラインから近づき始めた時から、フィニッシュするまでの艇の航跡を示す糸をぴんと張った場合、次のようになっていなければならない。
(a)それぞれのマークを定められた側および正しい順序で通過。
(b)それぞれの回航マークに触れること。
(c)ゲート・マークの間を、その前のマークの方向から通過。
フィニッシュしていない場合に限り、この規則に従うために誤りを正すことができる。

これが適用される。
なおこの「困った艇」はfinishしてるので、レースコミッティーは着時間を記録せねばならない。で、審問の結果、 DSQを適用、失格、それが答え。

RRSを勿論愚生のセーリングバックから出して確認する。事案がどこに書かれているかのインデックスを覚えておかねばならない。

条文にあるぴんと張った糸、これを英語ではなんと表現されているのとM.Sさんに聞くと、stringと。そうしてたら、M.Sさんから、この前のレースで同じようなことがあり、その艇はfinishの後にエンジンを掛けた少しだけ航行したが、直ぐに間違いに気づき、ペナルティー行使のために、再びコースに戻ったと。これまた「更に困った艇」が出現してきた。

例えば、エンジンは救助等のためならレース中でも駆動してよく、救助後に再びレースに戻ることが許される。ではどの位置から再スタートして良いか、これはこの稿ではちょっと置いとこう。いずれにしても、「更に困った艇」もアウト。

それから、夫々の「困った艇」はレースコミッティーに、finishフォーンを鳴らしたやんと抗議してくるかも知れないので、これもついでに問答する。
ここでもルール論が顔を覗かせ云々と。本来は finish にフォーンを鳴らす規定はRRS等にはなく、所謂それはサービス行為である。

でもトップ艇の finish にはフォーンを鳴らしてあげよう。そうしたら後続艇はトップとの時間差の計算ができ、更にチーム力を発揮するかも知れない。よってレースコミッティーのサービス精神旺盛、おおいにあってよしと、話は落ち着いた。

愚生はレース経験はないけど、RRSの内容を読んでいると深くて面白い。また色々と知識を得ることも出来る。いい歳して・・・。次回はまた面白い事例問答をお話したい。

下手なポンチ絵だけど、図-Bは正常なfinish。
線を糸とおもい、矢印の箇所を引っ張ると、
ソーセージ・コースの場合、
ポートタックにマークブイを見つつの、スタート&フィニッシュ・・・。
図-Aはそうではない。
これがトラペゾイド・コースになるとフィニッシュでのポートタック風景が違ってくる。
「finish運営艇をリーチではなく風上にする」とあるから、
スターボードにマークブイをみることになる。
なんでそうか・・・、まあ、深い。


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